福島町の歴史散策路

P1440833
江戸時代函館から松前に至る街道は105kmあり
殿様街道は蝦夷地の幹線道路でした
中でも福島町から知内町に至る道路は街道の難所ともいわれていました
現在は一の渡地区を起点に4.5kmほどの登山道となっています
春と秋に福島町主催のガイドツアーも開催されますが
個人でも行くことは可能です

目印がやや分かりにくい

P1440746
千軒地区から少し離れた一の渡地区にある登山道
大千軒岳登山口の途中にひっそりとあります
GoogleMAPの目印となるのは千軒墓地
殿様街道登山口自体は特に案内標識があるわけでもないため
千軒墓地を過ぎたあたりから左側の森を
よく見ておかないと素通りしてしまいそうなのでご注意を

地域の関係者によって維持

P1440750
現在の殿様街道は地域に関係者によって維持され
ブナの森や国鉄松前線遺構跡などが見学できるように
周回できるルートとなっています
今回は砲台跡先回りルートで登ってみました
どちらのコースでも高低差は同じで
だいたい3時間ほどの行程です

春と秋にイベント開催

P1440751
序盤は色づく森の中をひたすら登っていきます
イベント開催直後に登れば草刈りなどが行われたばかりの為
道がわかりやすく整備され歩きやすいです
それ以外の時期は草刈りが行われないため
分かりにくいところもあるかもしれません
夏よりも秋の紅葉シーズンに登る方が道中も綺麗でお勧めです

クマの出没エリア

P1440772
殿様街道は熊の出没が多い大千軒岳の近く
熊の生息地域ということで登山道には熊の糞が沢山あります
熊が活発となる早朝や夕方は避け日中に行くことをお勧めします
熊が怖いという人は単独ではなく
福島町主催のツアーに参加するのが良いと思います
ちなみに参加費用は1人3000円だそうです

旧幕府軍を迎え撃った砲台跡

P1440753
序盤の登りを終えると砲台跡と書かれた場所に到着します
ここは函館から松前へ進軍中の新選組土方歳三ら
旧幕府軍を迎え撃つために松前藩が大砲を2基備えた場所です
詳しい説明等は書かれていないため
このあたりの詳しいことを知りたい人は
学芸員のついてくるガイドツアーの参加が良いと思います
ちょっとしたコスプレもしていて分かりやすく説明してくれるようです

かつてゃ皇室の森

P1440757
砲台跡を進むと出てくる御料林境界線の標識が
御料林とは皇室の森林で皇室の財産として管理していたところです
かつては長野、岐阜、静岡、山梨、神奈川などにあったようですが
戦後に国有林に移管され消滅したようです
そんなかつては皇室の持ち物だった山林の境界線がここのようです

広大なブナの森

P1440768
しばらく歩くとブナの森へと入ります
ここから先茶屋峠まではブナの森の中を散策するようになります
北海道でブナ林というと黒松内町が有名ですが
殿様街道周辺もブナの木々に囲まれており
紅葉の時期には黄色く色づいた葉の中を歩けるため
綺麗な紅葉を楽しむことができます

松前線以降までは下り

P1440771
ブナの森あたりから旧国鉄松前線遺構跡まではジグザグな下りです
全く山に登ったことがないような初心者がツアーに参加しても
大丈夫なのかなって思うようなところがいくつかありますが
ガイドツアーならばこの辺はフォローしてくれそうですね
ここまでずっと登りだったところを一気に降りていきます

山中に残る鉄道遺構

P1440774
しばらくすると鉄橋が見えてきました
昭和63年に廃線となってしまった国鉄松前線の遺構です
知内町から福島町へは山中のトンネルを通っていたようで
残っているのは茶屋沢橋梁と深雪沢橋梁の2本
この二つの橋梁を渡るのが殿様街道の一番のメインスポット

トンネルは閉鎖

P1440776
福島トンネルと茶屋トンネルの間にあったこの区間
どちらのトンネルもふさがれており中へ入ることはできません
序盤は鉄道のトンネルの上を通ってきたような感じですね
千軒の次は福島町の中心地だった渡島福島駅だったようですが
茶屋トンネルの向こう側がどこを走っていたのか気になりますね
この先もトンネルや橋梁が沢山あったようです

殿様街道一の撮影スポット

P1440778
降りてきて目の前にある全長48mの茶屋沢橋梁
殿様街道一の撮影スポットでもある鉄橋
かつてはこの橋の上を鉄道が走っていたと
想像するのも楽しいところです
今は鉄道は走っていませんが登山道として利用され
上を歩いていくことができます

現在は登山道の一部

P1440779
頑丈に作られた鉄橋なので
廃線からかなりの年月が経ちますが揺れることなく安心して歩けます
普通の歩く分には問題ありませんが
網目の橋なのではるか下の沢が見え隠れして緊張感が走りますね

鉄橋は二つある

P1440787
茶屋沢橋梁を渡ると深雪沢橋梁
こちらも渡ることができますが
ここを渡るとメインルートから外れ
沢へと降りるルートがやや急な斜面となり
道もわかりにくいので要注意です

降りる道がやや不明瞭

P1440796
沢へと降りると深雪沢橋梁が見上げられるスポットに到着
赤い橋と黄色く色づいた紅葉が綺麗なスポットです
鉄路が現役だったころにはこの登山道はなかったため
訪れることができなかった幻の撮影スポットですね

枯れた沢沿いを歩く

P1440801
水の音はするけど途中で水がなくなる
岩場の多い沢沿いを歩きます
一本道なので迷うことはないですが
案内も何もないためやや不安になる道です

渡渉が何度かある

P1440806
ここから茶屋跡までの間は福島川を何度か渡渉します
河岸にロープがあるためここは初心者でも
かなり優しい仕様となっています
このあたりは四十八瀬と呼ばれ伊能忠敬の測量日記にも登場する所です
蝦夷地上陸記念の地となった福島町吉岡には伊能忠敬の銅像があります

かつては茶屋があった

P1440807
四十八瀬の近くにはかつて一軒家があり
茶屋として殿様街道を通行する人の休憩スポットとなり
北海道の名付け親である松浦武四郎もここで休息をしたようです
その際にスモモの木が植えてあったと書かれており
今も茶屋跡付近にはスモモの老木があり
当時からあったものではないかといわれています

茶屋跡から先は登り

P1440812
茶屋跡からは茶屋峠を越えるために再び登り
これが最後の登りで茶屋峠から先は下り道
最後に向けてもうひと踏ん張り

樹齢200年のブナの巨木

P1440816
途中にはブナの巨木があります
樹齢200年のブナなのでかなり大きく
このあたりのご神木として祭られています
幹回りは373cm、高さも24mと白神山地にあるそうな
立派なブナの巨木を拝むことができます

紅葉が綺麗な茶屋峠

P1440824
ブナの巨木を過ぎるとまもなく茶屋峠
かつては多くの松前藩士が通過して至った峠ですが
今では通行する人はほんのわずか
ガイドツアー開催時以外はほとんど人が訪れることがなさそうですが
このあたりの紅葉が一番きれいに色づいていました

最後は杉並木を歩く

P1440832
最後はゆっくり下りながら一の渡の登山口へ
道南らしい杉並木を過ぎてゆくと間もなくゴールです
ガイドツアーの場合この先千軒地区まで歩くため
距離が7kmほどになりますが
殿様街道だけの散策ならば4.5kmと程よい散策路です
紅葉や松前線遺構跡やブナの巨木と見どころが多いにもかかわらず
殆ど人が訪れないマニアックな歴史散策路でした

アクセス

[殿様街道]
【住所】北海道松前郡福島町千軒
【アクセス】木古内駅から函館バス松前行きに乗車し、千軒で下車登山口まで1.8km徒歩25分
【登頂時間】2時間30分~3時間
【登山適期】5月~11月上旬
【難易度】★★☆☆☆(初心者向け)


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログへ
にほんブログ村